SUWACO Laboは毎年開催している自然エネルギーの普及活動イベントです。長野県と岡谷酸素、自然エネルギー信州ネット、信州ネットSUWAの合同で開催しています。
今年は2020年10月24日に茅野市民館からのオンライン中継で、「地域と調和した太陽光発電」をテーマにセミナーを行いました。
当日の様子は、自然エネルギー信州ネットのYoutubeページより、順次配信していますので、ご覧ください。
現地では霧ヶ峰の麓の林地を利用した大規模なメガソーラーの開発が予定されていて、その是非が問われていました。今年、事業者の撤退が決まったのですが、それでも大きく二つの課題が残りました。
一つは、森林をどう維持するか。そもそも予定地の森林から安定的な収益を望めないと判断したからメガソーラー開発業者への土地売却を考えた背景があります。しかし、ドイツやオーストリア、ノルウェーなど欧州では森林は持続可能な収益を農村にもたらす安定的な資産であるとされています。日本の森林経営のあり方を転換させる必要があります。
もう一つは、太陽光発電へのイメージが毀損されたことです。例えば、大量のゴミになる、製造時に多大なエネルギーを使うのでエネルギー代替にならない、などメガソーラー反対運動をする住民の一部から疑問が挙げられていました。
今回の「地域と調和したソーラー」では、そのようなイメージが余り正確ではないことを学ぶことができました。三部構成で、まず、岡谷酸素株式会社より諏訪の県営施設の屋根を使った岡谷酸素太陽光発電所SUWACO Laboの取り組みの紹介、長野県ゼロカーボン推進室より屋根活用太陽光の推進施策、そして産業総合研究所で太陽電池研究を牽引してきた櫻井啓一郎さんより最新の世界状況の報告がありました。
例えば、廃棄に関して太陽電池は高品質のガラスやアルミニウム が主な成分なので、実は大量のゴミというより 「リサイクル資源」であり、欧州などではリサイクルの義務化もされた結果、問題とされていないこと。
製造工程や品質の向上により、製造と廃棄時に必要なエネルギー消費分は一年も経たない程度で発電して代替できること、などです。
運転時には無償で再生可能な太陽光だけを用いるので、その分、化石燃料による発電量を抑えることができ、やはり環境へのメリットが高いことが明らかにされました。
温暖化対策への有効性と同時に、太陽電池が非常に安価で高品質のものが作れるようになった結果、経済優位性も高く、化石燃料を使った発電よりもコストが安くなってきていることも明らかにされました。
屋根上での太陽光発電はやらない理由がないくらいの状況であり、ちょうどセミナー開催日に上諏訪の若者に人気のリビルディングセンターの建物上で、相乗りくん太陽光発電所も稼働を始めたことが報告され、諏訪地域での太陽光への関心は急速に高まっています。
信濃毎日新聞の記事(2020年10月25日)