茅野實 顧問(初代会長)追悼の辞 会長 高木直樹

2021年9月2日 自然エネルギー信州ネットの立ち上げに関わり、初代会長を勤めた茅野實(現顧問)が逝去しました。
茅野会長時代には 自然エネルギー信州ネットに多大なご厚誼をいただきましたことを深謝いたします。

ここに高木直樹現会長よりの追悼の辞を掲載させていただきます。

 

我が師 茅野實さんをしのんで

自然エネルギー信州ネット会長・高木直樹

 

 茅野 實さんが9月2日に88歳で亡くなりました。私は最近お会いしていなかったこともあり、あの元気だった茅野さんが・・・と絶句しました。信州ネットは茅野さんが信州の地に造っていただいた組織です。茅野さんがいなければ、この組織はありませんでした。ここでは茅野さんと信州ネットのことを、私自身の茅野さんとのかかわりも交えながら書かせていただきます。

 私が茅野さんに初めてお会いしたのは多分1996年の頃だったと思います。私はそのころから環境問題に関して少しずつ発信を始めていたのですが、大学の研究者・教員という立場上、どこまで活動をしていいのか、悩みながらの活動でした。環境活動を一緒にやっていた友人が、「長野県内で環境活動に熱心な銀行マンがいるから会いに行こう。」と誘われて伺ったのが、八十二銀行の頭取応接室でした。初めて大会社の社長室?に入り、緊張していた私ですが、茅野さんの元気のよい大きな笑顔に迎えられ、「自分の信じる道であれば、どんどん発信しなさい。」と励まされ、環境活動を続けていく勇気をいただきました。それが縁でその後もかわいがっていただき、いろいろな場でお会いし、励まされました。私が長野県や長野市の環境問題に発信を続けてきたのは茅野さんに背中を押していただいたおかげだと考えています。

 茅野さんは銀行の頭取をされながら企業の環境活動を後押しするために長野県環境保全協会を設立され、退任後は八十二銀行のバックアップを受けながら、協会の会長、顧問として環境活動に邁進されてきました。

 長野県の温暖化対策は阿部知事になり、中島恵理さんを温暖化対策課長として環境省から迎え入れたことで大きく前進しました。2011年に「行政の計画や施策に加えて、事業者や県民を巻き込んで自然エネルギーの普及・啓発をする組織が必要だ」と、阿部知事、中島さんと一緒になって自然エネルギー信州ネットの創立にご尽力いただきました。茅野さんのお力が無ければ、事業者の参加はうまくいかなかったと思います。私は設立時から参加していましたが、茅野さんの熱い思いに圧倒されたことを覚えています。

 その後5年間会長として組織を引っ張っていただきました。2016年に「ちょっとくたびれたから、替わってほしい。」と頼まれて、会長を引き継ぎました。「茅野さんの夢を実現したい。」という私の思いは、少しは前進できているのでしょうか。

 日本の環境問題、特に気候変動問題は大きく変わろうとしています。これからはこれまで以上に茅野さんの思い「県民、事業者、行政が一緒になって、自然エネルギーの利活用を行い、生活のライフスタイル、事業スタイルを環境配慮型にすることで、より良い暮らしを実現し、次世代に引き継ぐ。」を進めていきたいと考えています。

 茅野さん、天国から私たちの活動を見守っていてください。そしてありがとうございました。